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寝たきりにならないために

高齢者の介護というのは、どこまで手を貸すかが難しいところです。老化は病気ではありませんが、確かに徐々に衰えていくため手を貸すことが必要なところがあります。また、介護する側にとってはまだ経験したことのない状態ですので、老化による体の衰えがどれだけ負担になっているのか実感しにくく、ついつい必要のなりところまで手をまわして手伝ってしまいがちです。何か物を取ろうとしたときに取ってあげたり、食事なども上げ膳据え膳でその場で食べられるようにしたりなどという環境は、高齢者にとってはとても楽ですが、あまりに手を貸してしまうと、寝たきり生活になってしまう危険性があります。
若い人でも病気やけがで何日もベッドで寝ていると、次に起きた時に歩くのもままならないものです。体というのは意外とすぐに動かし方を忘れたり筋肉が衰えたりするので、ちょっと動かないと自分で思っていたよりも動けなくなってしまって驚くことがあります。まして高齢者はさらに筋肉が衰えやすくなっていますので、一度寝たきりになってしまうと筋肉がどんどん衰弱して本当に歩けなくなってしまうことも多いのです。それを予防するためには、日ごろからできるだけ動いて筋肉が衰えないようにしておくこと。ただし高齢者になると外出して運動する、というのも難しいでしょうから、家の中で動けるところは動くことが大切です。トイレまで歩いたり、食事はかならず食卓で食べるなど、少しでも体を動かすような生活習慣を続けるようにしましょう。転んで怪我をしては大変と、動かなくてもよいような環境を作ってしまう人がいますが、これでは逆に寝たきりになりやすくなってしまいます。高齢者自身にとっても、寝たきりになると毎日退屈なうえに、周囲に負担をかけているような感覚が大きく、お互いにストレスを感じるようになるものです。よく喧嘩しながら元気に過ごしている親子などがいますが、そうすることによって精神的にも若々しさを保つことができたり、自分のことは自分でやろうという意識を持つことができるのがいいですね。相手のことを考えて優しく手伝っているつもりのことが、寝たきり生活に近づけてしまうこともあります。ちょっと厳しいかなと思っても、あえて手を貸さない、というのも一つの介護の方法です。

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